紅薔薇の呪、黒龍の咬

以下、空想とか。
おすすめしない

「神殿騎士本隊確認……ふふふ、これから遊ぶわよ。遅れたらその頭吹っ飛ばすわ！」
頬に赤くなびく髪。赤いドレス。髪の長い指揮官は白い軍団を見て笑みをこぼした。
「了解」
つまらない返事、彼女はそう思ったが、戦闘用魔法少女はこれが普通。自我をもつ自分が特別なのだ。
白い塊に、赤い点が混じる。途端にその周りが赤く染まる。赤い点を中心に塊に穴があく。
攻撃的な市民にて思うように動けなかった神殿騎士団に、背後からの突撃は予想外だった。対応に遅れ、隊長までの進撃を許してしまう。
「さっさと隊長を出しなさい！」
銀髪の剣士、赤髪の戦士。二体の攻撃は止まなかった。幾ら壊しても、すぐに直されてしまう。しかし、勝手に直るわけではない。薄紅色の戦闘用魔法少女が壊れた部品を集め、直している。
それだけではない。今日はなんだか体が重い。思ったように動けず、思ったより傷が深い。きっとどこかに呪術師がいるのだろう。しかし、目先の相手を倒さなければどの道やられてしまう。
騎士団の攻撃はすぐに薄紅色の補給型へ移った。少してこずったもののそれ自体は攻撃に向かないようですぐに破壊できた。
そこから魔法少女は勢いを失い、ついに攻撃の手は止んだ。
……跪く赤に止めが刺されようとしていた、そのときである。空が急に暗くなった。
白と赤、その間に巨大な黒が降り立った。黒き竜、混沌竜と呼ばれるその巨体は、天に一声吼えるともう一度飛び立った。しかし、それと同時に戦場へその息を振りまいた。


「とりあえず生き延びたみたい。これは良いことかしら」
「僕の出番がなかったことが少し悔しいかな」
「人形は大事……」
奈落の軍団は、命からがら逃げる指揮官を見ながら口々に言う。
当の本人は二体の魔法少女を担ぎ逃げるのに必死で見られていたことにすら気付いていないだろう。



「今回の作戦が殲滅じゃないにしても、この様じゃリリーに何言われるか分からないわね……。ヴァイオレットはいつもこんなことをしているのかしら？　それでも、この私を道化にしようなんてどうけしているわ」